或る地方公務員の読書録

行政やテクノロジー、その他実用書について、技術者、自治体職員の視点から感想文を書いています。

2017-01-01から1年間の記事一覧

ムダな仕事が多い職場:中小企業こそ生産性向上の効果が高い

本書は、ムダな仕事が多い日本的な仕事のやり方と、合理的な海外の仕事のやり方を比較、紹介している本です。 本書で指摘する内容は以下の通り。 日本人の仕事のやり方: ・合理的目標が設定されていないためサービスの限界がない(サービス過剰) ・部分最…

夜と霧:生きる意味なんてやってこない

歴史上、人類が作り出した最も陰惨な環境であるナチスの強制収容所では、ユダヤ人の死亡率は90%以上という、死が当たり前の状態です。 その状態の中で、収容された人間の思考や感覚は鈍麻し、失われていき、多くの人が生きることを諦めていきます。 そのよう…

地方創生大全:ゆるキャラなんてやってる場合じゃないよ!

人口減少、高齢化により日本中の街が縮小している中で、小さくても少しずつ生き延びる事業をコツコツ進めてきた著者による「地方創生」の失敗する原因と成功する方法の紹介です。 紹介内容はものすごく当たり前で簡単なことです。 地方創生に大事なことは・…

日本経済入門(野口悠紀夫)

書名のとおり、いくつかの経済指標を用いながら日本の代表的な問題点を挙げている本です。 以下、目次からいくつか抜粋。 ・ 経済活動をどんな指標でとらえるか(GDP) ・製造業の縮小は不可避 ・物価の下落は望ましい(&円安は日本の労働者を貧しくする) …

スタンフォード式最高の睡眠:眠り始めの90分が重要

「生活の質を向上させたい」と思ったら、睡眠の質を上げることが効率的かつ汎用性が高い方法です。当たり前ですけど、人生の約3分の1は寝ているので。 ということで、この本は、 「睡眠の質を上げるにはどうしたらいいか?」 について、世界中の研究に基づ…

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史

本書は、司馬遼太郎の主な著作を解説しながら、戦国時代以降の歴史を紹介するという本です。 司馬遼太郎の著作を通して歴史を紹介しているので、単純な歴史紹介ではなく、「司馬遼太郎がどんなふうにそれぞれの歴史を見て、どのように登場人物をそれぞれの小…

歴史に「何を」学ぶのか:歴史は面白い

半藤一利による若者向けの近現代史入門書(+半分自伝)です。 内容については、著者のこれまでの著作の内容を改めて平易に紹介しているだけなので、「昭和史」や「日本のいちばん長い日」を読んだ人には、特に改めて読む価値はありません。 とは言っても、…

財政のしくみがわかる本:行政における仕事の優先順位

どんな職種においてもですが、特に公務員においては、必ずと言っていいほど 「この仕事ってやる意味あんのかな?」 という瞬間に直面します。 (前例踏襲主義の傾向が強いなどの理由による。なぜ強いかはまた別の機会に) そんなときに本書は 「そもそも政府…

The New Odyssey(シリア難民):火事が起きている家には戻れない

2011年チュニジアから始まった「アラブの春」は、ずっと変わらないと思われていたアフリカの独裁体制を有する国々(エジプトとかリビアとか)の体制を壊しました。 独裁体制の中で、体制を転覆させるほどの大規模デモが起きた背景には、当時加速度的に広まっ…

失敗の本質

この本は、大東亜戦争における日本軍の戦い方、負け方を分析し、日本軍、日本人が失敗に至る原因を探る書籍です。 などと、改めて紹介する必要がないほど有名ですが、今回読んでみて、この本は左翼的な「自虐」とはまた違った自虐本だなと思いました。 左翼…

人工知能(ハーバードビジネスレビュー)

続けて人工知能の本です。ハーバードビジネスレビューの人工知能に関する論文をまとめて書籍にしたものです。 人工知能の特徴がよくまとまっているのは、第2章の「人工知能はビジネスをどう変えるか」の部分です。 ー以下、抜粋(一部加工、追記あり)ー 〇…

人工知能は人間を超えるか

巷間、「人工知能」や「AI(Artificial Intelligence)」という単語が、様々な思惑とともに流行しているようです。ワタクシも流行に乗って概要でも理解してみようと手に取ってみました。 まずは、松尾豊氏の「人工知能は人間を超えるか」です。 ちなみに、こ…

沈黙(遠藤周作)

マーティン・スコセッシの「沈黙」のレンタルが始まっているようなので、映画を見る前に再読。 この時代は、多くの人(特に農民)は満足に食べることもできず、病気になっても薬はなく、厳しい年貢の取り立てに追い立てられる、という、生きてること自体が苦…