或る地方公務員の読書録

行政やテクノロジー、その他実用書について、技術者、自治体職員の視点から感想文を書いています。

人工知能(ハーバードビジネスレビュー)

人工知能―――機械といかに向き合うか (Harvard Business Review)

続けて人工知能の本です。ハーバードビジネスレビュー人工知能に関する論文をまとめて書籍にしたものです。

 

人工知能の特徴がよくまとまっているのは、第2章の「人工知能はビジネスをどう変えるか」の部分です。

 

ー以下、抜粋(一部加工、追記あり)ー

 

〇これからの人工知能を支える基本要素

 ・情報科学アルゴリズム

 ・データ

 ・情報処理力

機械学習によるAIの利用用途

 ・識別

 ・予測

 ・実行(文章、画像、音声生成や、組み合わせ問題最適化、作業自動化)

〇AIができないこと

 ・意思がない(欲望、価値観がない)

 ・人間のように知覚できない(価値観がない)

 ・事例が少ないと対応できない(データ量と精度に相関がある)

 ・問いを生み出せない(欲望がないから課題設定ができない)

 ・枠組みのデザイン(個別最適はできる)

 などなど…

 

今後の技術の変化により、AIができないこと、は減っていくかもしれませんが、現時点では、根本的な人間との違いである「意思、欲望がない」がある限り、意思、欲望につながる「問いの設定」や「枠組みのデザイン」は、今後しばらくは難しいままだと思います。

 

ということで、今後、人間が引き続き仕事を続けようとするならば、上記のAIができないことたち、を選ぶほうがいいということになります。

 

また、これは私見ですが、人間の五感のうち、視覚と聴覚については既にデジタル化されており、無料でインターネット上で配布されていますが(正しくは広告とセットで配布されマネタイズ化されている)、触覚、味覚、嗅覚についてはまだデジタル化、定量化する技術(センサー)が及んでおらず、AIの基本要素である「データ化」が進みにくいかと思います。

 

いつかわかりませんが、今後、嗅覚、味覚、触覚の定量化が進み、食事もダウンロードできる、ドラえもんの「グルメテーブルかけ」ができる日が来るかもしれません。もしこれらもデジタル情報として扱われるようになれば、現在、書籍(視覚)や音楽(聴覚)などの小売、卸売はamazongoogleなどに駆逐されたように、飲食店も激減する日がくるでしょう。

 

最後に、少し古いですが、コンピュータによってなくなる仕事予測のリンクを貼っておきます。 by Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne。

 

THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?

http://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf

 

人工知能―――機械といかに向き合うか (Harvard Business Review)

人工知能―――機械といかに向き合うか (Harvard Business Review)