或る地方公務員の読書録

行政やテクノロジー、その他実用書について、技術者、自治体職員の視点から感想文を書いています。

2050年の技術:これからの人類は自らのゲノムを操作する

2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する (文春e-book)

英Economist誌が「2050年の世界」に続いて編集した、2050年の技術動向を予測している本です。

 

予測されている技術を並べてみると、、

・チップはあらゆるものに埋め込まれIoTが進む。

・誰もがヘッドセットを持ち歩く。ヘッドセットだけでなく、コンタクトレンズや網膜に映像を映し出しているかもしれない。

・自動運転タクシーにより、都市の車両数は90%減少する。都市部の駐車場はなくなり、再開発される。

・人工食品が増える。工場で生み出される野菜や肉が増える。これらは食料不足を防ぐ。

核融合ができるかも。

・戦争にも医療にもなんでもAIが使われる。

・個人がさまざまな理由から、自らのゲノムを操作する。

・人間の脳はインターネットに繋がる(脳にデバイスをインストールする)。

 

これらのほとんどは現在の技術の延長上です。人間が使う「道具」の性能が向上していく、というものです。(全般的には、大量のデータが集まってそれをAIが帰納して演繹する、というテーマが多かったようです。)

 

しかし、その中でも異質なものがあります。

 

ゲノム操作とインターネットに繋がる脳です。

 

これらは、これまで人類が誕生して数万年間変わらなかった、「人間自体」の性能を向上させるものになります。これは、他の道具の性能向上たちとは別次元のものです。

 

技術的に可能ならば、人類は間違いなく知力や身体能力を上げるために遺伝子を操作するでしょう。そして、臓器、特に脳の改造も行うでしょう。

知的能力の高さと収入が比例するこの世の中では、脳にデバイスをインストールしないことがハンディになります。

 

これらの操作により、短期的には優秀な人たちが生み出されます。寿命も延びます。遺伝子操作のほうは、もしかするとガンダムニュータイプのような新しい人類が生みだすかもしれません。

 

ただ、せっかく生物が生み出した「寿命と交配による多様性の確保」というシステムとは相反するやり方なので、天変地異や大規模な疫病が流行ったときには耐性が低くなります。

きっと美容整形のように、多数の人が似たような遺伝子操作や脳の改造を行うはずなので。

 

それにしても、核融合はいつできるんでしょうね。