財政のしくみがわかる本

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公務員という職業をやっていると、必ずと言っていいほど

「この仕事って意味あんのかな?」

という基本的かつ大きな悩みに直面します。

 

そんなときに本書は

 「そもそも政府とはね…」とか「そもそも税とはね…」

という基本的なところを教えてくれるため、

 

もし公務員の方が仕事をしている中で

 「この事業って続ける必要あるのかなぁ…」

のように悩んだときには、是非手に取って基本に立ち返ってみましょう。

 (ちなみに民間企業の場合だと「限られたリソース内で最大の利益を上げる(金で換算できることが多い)」という最適化問題を解くことが基本なため、考え方は行政の仕事(住民の福祉の向上)よりわかりやすいです。)

 

 

本書の基本的な考え方は「財政とは民主主義に基づくべし」というものです。財政の基本的な仕事である「お金の再分配」は、有権者の一票一票に基づいて(民主主義的に)なされるべきであって、購買力によって再分配されてはならないという考え方です(購買力による再分配=市場でされるべき)。

 

本書ではこの考え方に沿って、政府のもともとの仕事(原始的な政府の仕事)から、現代の第三セクターまでの財政の仕事を紹介してくれます。 

 

①まず、政府のもともとの仕事は「所有権の設定(暴力の行使=警察、防衛)」です。とにかく「住んでいる人たちの自由を保障」してあげないことには、まともな国ではありません。自由を保障する仕事には消防も入れていいでしょう。

北斗の拳のような世界では、国が暴力を独占できていないので破綻国家と呼ばれます。ソマリアとか。)

 

②次に市場経済が発展すると、多くの人々が市場に働きにいきます。その時に家庭や家庭同士のコミュニティで行っていた仕事を政府が担うことになります。代表的なものは教育です。家単位でこどもに勉強を教えていては、家庭から市場へ働きに行くことができません。市場経済が発展すると、こどもを昼間預けておいてまとめて教育してもらう機能が求められます。また市場経済が発展すると、いざ働けなくなったとき、例えば病気になったり、老齢になったりしたときのセーフティーネットも必要になります。保育や介護もここです。

 

③その次は、市場経済が上手にうごくための条件整備が必要になります。道路や河川、港湾の整備、エネルギーや通信、交通などがあたります(これらは民営化してきてますけど)。つぶれそうな企業をソフトランディングさせるための補助金もここでいいでしょう。

 

④最後に三セクとか。利益を求めちゃうやつ。

 

このように、政府のもともとの役割から時代を経るにつれて行政サービスが拡大していく様子を学ぶことができます。

また上記以外にも、「予算のいろんな原則」とか「税って何?」とかも書いています。

 

本書の面白いところは、このような基本的な財政のしくみやあり方を紹介したうえで、第7章の終わりと第8章において「地方自治体はもっと上記②の家庭内サービスのお手伝いをしなさい!」と言っているところです。

ざっくりと紹介すると(勝手な追記箇所あり)以下のとおり。

 

    現代は皆、男女問わず仕事に行く必要がある

 → しかし地方自治体が上記②(介護とか子育てとか)の家庭内サービスを肩代わりしていない※

 → なので、働く人が介護や子育てでつまづくと非正規になるしかない

 → 単身でいることが有利

 → 少子化になる

 → GDP減る 

※これまで日本は中央集権国家だったので、地方自治体も、国が主導する③産業政策をこれまで惰性&つられてずっと横並びでやってきました(産業政策って反対する人が少ないので、国のような大きな単位だと、事業が産業政策ばかりになる)。本書では、地方自治体は「各自治体の特性に合わせて③産業政策じゃなくて②介護福祉をやろうよ!」と言っています。

 

 

ただ、行政がいくら子育てを手伝ってくれたとしても、そもそも仕事がないところには若者は来てくれないため、双方のバランスが必要になります。当たり前ですけど。

このバランスの取り方を研究している論文があったら読みたいです。