敗北を抱きしめて(上巻)
本書は、戦後の大混乱の中を、いろんな日本人がいろんな生き方をしていた、ということをそれこそ小説、音楽、風俗、いろんな資料を基に教えてくれます。
上巻を通して感じたことは、アメリカの押し付け民主主義を、日本人たちは混乱しながらも明るく受け入れた、ということです。
そしてその日本人たちはなんだか、「明るく無邪気」です。
日本人たちは敗北を抱きしめながら、傲岸不遜なアメリカの思惑と化学反応をしながら、日本的民主主義ができていきます。
さて下巻へ
<面白かったところ>
・日本と連合国の戦争は3年8か月なのに対して、占領期間は6年8か月と約2倍。
(改めて言われると確かに長いなーと思いました)
・日本占領はアメリカ一国によって為され、被害を受けたアジアの人々は関われなかった。
・アメリカ人たちは、この敗戦国の政治、社会、文化、経済の網の目を編みなおし、しかもその過程で一般大衆のものの考え方を変革するという、他国を占領した軍隊がかつてしたことのないような企てに取りかかった。
・軍国主義というイデオロギーは戦後すぐに捨てられた。イデオロギーがどんなに脆いのかを教えてくれる。
・東南アジア、太平洋の兵士の死因第一位は餓死、に加えて、戦後、本土の国民も飢えで餓死している。とにかく飢餓だらけ。
(昔から気合と根性やなー)
・日本人は、敗戦までのほとんど百年近い間、根本からの変化をつねに予測し、かつその変化に適応するように訓練されていた。