或る地方公務員の読書録

行政やテクノロジー、その他実用書について、技術者、自治体職員の視点から感想文を書いています。

地方消滅

地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)

続けて、地方消滅です。

この本も人口動態から始まります。

 

20~39歳の女性が半分以下になる、老人&生産年齢人口も減少する →

893の地方が消滅する、と書いています。

ただ20~39歳の女性人口が半分以下になったあと、どうなっちゃうのか、どう消滅するのかは書かれていなかったので想像できませんでした。

 

とにかく地方が危ない、というか、人口が減ってしまって現状のシステムでは耐えられないというのは想像できます。

 

本書での提言は、

減少する要因のひとつである地方→東京に集まっちゃう若者を、せめて地方の拠点都市がダムとして集められるようにしよう、そこにカネをかけましょう、ということでした。地方の山村は捨てちゃおう、とも読み取れましたが。

 

いずれにしても人が減るのは予想されるので、個人的には、

・減少率の傾きを減らす政策を実行する。(急減したら対応が大変だから)

・人口が「徐々に」減っている間に自治体のサイズも減らしていく。

というのができればいいのでしょう。人口がものすごく少なかった江戸時代にも山村に人はいたし、集落はあったはずですから。

ただ、自治体のサイズを減らす、ということは政治的に難しいはずです。

 

 

 

2050年の世界

2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する (文春文庫)

時間ができたこともあり、「2050年の世界」を読みました。

 

この本は、UKのthe Economistが「2050年ってどんな世界になるんだろう」を予想しているものです。あくまで予想です。何がどこまで当たるかわかりません。

ただ、人口統計については実際に近い数字が予想可能、らしいです。

(この前読んだ地方自治の本にも書かれていました。「地方消滅」にも書いてたな。)

 

で、その比較的当たるらしい人口予想は以下の通り。

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世界全体で急激に人口は増えていますが、2040年くらいが変曲点になっていて、ここらへんで人口増加率が下がっています。ほとんどの地域で2040年あたりから増加率が下がっていき飽和状態に向かっていきそうですが、アフリカだけは先が見えません。

この2000年以降急増しているアフリカの人口が、今後、経済成長に寄与するのか、それともただ人口が増えるだけになるのかはまだわかりません。ただし、人口予想を見る限りアジアの次にアフリカの成長がくる可能性はあります。

 

続いて個人的に興味を持った都市圏の人口ランキング。

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東京圏は2025年でも断トツ世界一。35百万人。

人口密度ランキングではないので単純比較はできませんが、それでも東京は多いんでしょう。 

他の章では、病気の未来や、言語と文化、温暖化、高齢化、科学、などの項目がありましたが、第1章の人口推計に比べて信ぴょう性が落ちる気がします。

気のせいかもしれませんが。

 

各章と最後に船橋洋一氏による「まとめ」が記されており、そこだけ読むでもいいかも、と思いました。

 

ということで最後のまとめ(by 船橋洋一)は、

・2050年、アジアは世界経済の半分の規模を占める。

  (G7は、中国、米国、インド、インドネシア、ロシア、メキシコになる)

・国家間の格差は縮小していくが、国内の格差は拡大していく。

・強権政治の国々では民主主義は前進し、民主主義国ではカネと政治指導力劣化により後退する。

高齢化。

・日本は衰退(GDPの面で。人口が減るから。)

 

その他、興味を持ったこと。

・中国の20代男女人口比 in 2025:

  男:97百万 に対して 女:80百万

・宗教の世俗化

  欧州のキリスト教:教会に行かなくなった

  アメリカのキリスト教:教会がコンサート会場になった

・アメリカで宗教性が高い理由

  流動性が高く、治安も悪い(殺人発生率4.7/10万人)

   c.f. 豪、中、韓、仏、英、独は1.0以下。日本は0.3。

・民主主義には、・法の支配、・道徳的報道、・公共心、 が必要

 なんだけど、ロビイスト、圧力団体、官僚、政府のマスコミ操作で衰退するかも。

高齢化に伴い、年金、医療費で財政圧迫 →

 年金受給年齢をあげちゃえ。支給対象を絞っちゃえ。

・1980年以降は各国間の格差は縮小している。生産性が急上昇しているから。

 でも、各国内の格差は拡大している。

 

 

2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する

2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する